カチャ カチャ カチャ
「…………んっ…………。」
うっすらとする景色の中で、どこからか良い匂いと共に音がした。
自分の身体を包んでいる見覚えのない毛布。
あれ??
紘紀が隣に居ない……………。
少しだけ覚束ない足取りで寝室を出た。
リビングに入ってみると……………。
「おっ……………起きたんだな!!」
少しだけ焦ったように見える紘紀の姿が合った。
「うん……………おはよう…………。」
「おはようって時間でもないけどな??」
紘紀はあたしと目を合わせることなく何かを作っている。
「何作ってるの??凄くいい匂いがする……………。」
「今なぁ、チャーハン作ってるんだ。」
「紘紀がチャーハン作ってるの!?」
「なっ!?俺だって料理は出来るぞ!!」
少し拗ねたように紘紀はそっぽを向いてしまった。
「ゴメン、ゴメン!!だって紘紀って作れないイメージがあったからさ!!」
あたしはそっと紘紀に近付いた。
「そーですかぁー」
「拗ねないでよぉ~!!」
後ろからギュッと抱き付いた。
「わぁ!?」
紘紀は驚いたのか、身体を揺らした。
「夕希!?離れろって!!」
「紘紀が拗ねなくなったらねぇ~!!」
更に抱き締める力を強めた。