「格好良い……………。」
気が付けばそんな事を呟いていた………。
「なっ!!」
紘紀は机に丁寧に置いていたお菓子たちをぶちまけた。
「あぁ!!何してんのっ!?」
あたしは急いで拾い上げる。
紘紀は…………。
「紘紀??大丈夫??」
あたしを見てから…………凄い勢いで顔を背けた。
「ちょっ!?人の顔を見てから逸らさないでよ!!」
「わっ!?こっち見んな!!」
「えっ…………紘紀??」
紘紀の抵抗した声は虚しく、あたしはバッチリと紘紀の顔を見てしまった。
「っなんだよ…………っくそ。」
紘紀は観念したかのようにあたしを見た。
「なんで顔がそんなに真っ赤なの??」
そう、紘紀の顔は真っ赤になっていたのだ。
「……………。」
紘紀は片手で顔を少しだけ隠しながらチラッとあたしを見た。
「ねぇ、今日だけで紘紀の真っ赤な顔たくさん見たんだけどなんで??」
「そんなこと聞くなよ…………。」
紘紀はあたしを真っ直ぐに見てきた。
「えっ??」
「本当に何も分かってねぇんだな。」
「??」
紘紀の意味のわからない発言に頭の中はぐちゃぐちゃだ。
「俺はずっと…………。」
あたしは紘紀としっかりと向き合った。
「……………。」
紘紀はそれからまた押し黙ってしまう。
「紘紀??」
「…………やっぱり、まだ良いわ。」
「紘紀??」
「夕希の着替えはここ出てすぐの部屋にあるから。早く来て来いよ。」
「えっ………あっ……着替え??」
「さすがに制服じゃどこにも出掛けられないからな…………。」
そう言って、テレビをつけていた。
「じゃあ、着替えてくる………。」
「俺のだから少しでかいからな??」
「うん、ありがとう。」
あたしはドアを開けると部屋に入った。