「ん??」
優しい笑顔を向けてきた。
「っっ\\\\\\\何でもないっ\\\\\」
「そうか??」
すると、エレベーターは止まってドアが開く。
「とりあえず、着替えないとマズいから。」
紘紀はそう一言だけ言うと『白木』[siraki]と書かれたプレートが貼ってあるドアに鍵を差し込んで開けた。
あたし…………あの人と龍雅くん以外の男の子とこんなにたくさん話すのは初めてだなぁ……………。
クラスの男の子の名前なんて分からない人がたくさんいるし………。
すると、紘紀はあたしと繋がれた手に力を入れて引っ張った。
「わっ!?」
ぼんやりとしていたあたしは紘紀の腕に引っ張られて転びそうになる。
「ったく、名前呼んでも反応しないお前が悪い。」
「えっ!?名前呼んでたの!?」
「100回ぐらい。」
「!?嘘でしょ!?」
「嘘に決まってんじゃん。」
「なっ!!」
「仕返し♪」
そう言って紘紀は舌を出して笑った。
その表情は無邪気な子供の様で、可愛く見える。
紘紀はあたしの手をまた引っ張ると部屋の中に入れた。
「適当に座ってて。」
そう言って、通された部屋は…………。
「広っ!?」
あたしの部屋2つ分ぐらいあるんじゃない!?
そう考えさせるほどに広いリビング。
たくさんのCDや雑誌、服が置いてある。
なんか…………紘紀らしいかも。
「あれっ??座ってれば良いのに。」
いつの間にか来た紘紀は制服ではなくて私服。
両手にはお菓子やジュースを持っていた。