紘紀の吐息が首に当たってくすぐったい感覚に陥る。
「紘紀っ…………くすぐったいっ………よっ………。」
「夕希の髪の毛、良い香りする。」
紘紀は更に顔を埋めてくる。
「っっ!!!!」
紘紀の髪が頬や首元に当たって、背筋がゾクゾクとする。
なにっ…………この感覚っ…………。
……………頭が真っ白になりそうっ……………。
立ってられなくなりそうかもっ…………。
足に段々と力が入らなくなって崩れそうになりかけた時………。
「…………終了、これ以上は俺が止められそうにない。」
そう言って、紘紀はパッとあたしから離れると高層マンションへとあたしの手を引いて歩きだした。
乱れた首元をサッと直してあたしは必死に火照った頬を冷やそうと手を当てる。
なっ…………なにあれっ!?
頭が真っ白になりかけて色々と危なかったよっ!?
チラッと紘紀の顔を見る。
紘紀はエレベーターのボタンを押して点滅しているランプを見ている。
なんであんな事しておいて普通にしてるわけっ!?
あたしは紘紀の横顔をじっと見ながらそんな事を考えていた。
すると……………そんなあたしの何か言いたげな視線に気が付いたのか………。