「紘紀っ!?何してんの!?」
「夕希を抱き締めてんの。」
サラリと紘紀はそんな事を言った。
「なんで抱き締められてんの!?」
「まだ分かんねぇのかよ………。」
呆れた声が聞こえてくる。
「何が??」
「…………。」
紘紀は黙ったままで………代わりに抱き締める腕に力が入る。
「………紘紀??そー言えば、好きな子が居るんでしょ??」
「あぁ、さっき話してただろ??」
「こんなの見たら誤解されちゃうよ??」
「…………なぁ………。」
少しだけ間が空いた後に紘紀はあたしの顔を覗きこんできた。
「っっ!?」
「夕希ってそれ、計算でしてるの??」
「計算??」
「そう、計算。」
「何を??」
首を少しだけ傾けて紘紀を見る。
「計算って言うのは、さっきみたいに上目遣いで見てきたり目が潤んでたりすること。」
紘紀は首元に顔を埋めてきた。