「紘紀~。」




あたしの間延びした声が昼の住宅街に響く。




「なんだよ。」




「ここってどこなの~??」




あたしと紘紀が歩いている所はシンッと静まり返った住宅街。




「俺の家の近くだよ。」




「へぇ~、紘紀の家の近くなんだぁ~。」




「おぉ。」




………………ん!?




「今、何て言った!?」




「はっ??聞いて無かったのかよ。」




「いや、だって紘紀の家の近くだって言ったよね!?」




「なんだよ、聞こえてんじゃん。」




「聞こえてたよ!?そうじゃなくて!!」




「一々、夕希は本当に元気だなぁ。」




紘紀が呆れた表情であたしを見る。




紘紀の整った顔に太陽の光が当たって…………。




           ドキンッ




胸が大きく高鳴る。




「あれっ??夕希、顔が赤いよ??」




          コツンッ




紘紀はあたしの額に自分の額をくっつける。




「紘紀っ!?」



至近距離で見る紘紀の顔はやっぱり他の女の子にモテるだけあってカッコいい。




「熱はねぇな…………。」




うぅ~、紘紀の顔が近いよぉ!!!!



段々と熱を更に帯びていく顔。




心臓はバクバクと不可思議な音を立てて猛スピードで動いている。