月明かりで少しだけ明るい千里の寝室。




暑いからと言って千里が開けたドアから風が入ってカーテンを揺らす。




「千里っ…………。」




そんな景色を眺めながらあたしはそっと声を押し殺して涙を流した。




「なんでっ…………あんなことっ………。」




ポロポロと涙があたしの頬を濡らしていく。




「っっ…………どうしてっ………。」




千里があたしと同時に果てる前に言った言葉。




「どうっ………してっ………愛してるなんてっ………。」




千里は最後の最後までやっぱり残酷だ。




いつもあたしに『良いもの』で終わりにさせてはくれない。




「っく……………ひっく………っっ………。」




不意に千里があたしを強く抱き締めた。




千里の身体から爽やかな…………でもどこか甘いような香りがする。




あたしの大好きな香り、体温、声、仕草。