ピンと背を伸ばし、背中合わせになるように、絽美とユウトは立った。



まだ人がいるのは知っている。


それが仕掛けてくるか─こないか。



静かな、息を吸ったり吐いたりする音と一緒に、

雨の音が混じっていた。



2人の体を濡らしていく。


「…絽美。」


不意にユウトが呟いた。


絽美は顔を向けずに答える。


「何?」


「雨がひどくなる前に、帰ったほうがいい。」


「そりゃ分かってる。」