注目されているにも関わらず、篤希は全く気にする様子も無しに言葉を続けた。

「自分のことを指摘されてそれを素直に受け止めてる。しかも人前で。なかなか出来ることじゃないよ。」

言われていることが分からず一瞬固まったが、頭のいい仁美はすぐに理解した。

篤希はきっと慰め、かばってくれているのだろう。

それをどこか空しく感じながら苦笑いをする。

「ああ…私は言って貰った方が嬉しいから。」

「それでも、出来る人は少ないよ。僕はカッコイイと思う。」

冗談じゃない、そう強い意味を込めて篤希は言いきった。

彼の目はまっすぐに仁美を捕らえ、表情も決してその場の空気を変えようと言っているのではないと分かる。

こんなに真正面から褒められたのは子供の頃以来じゃないだろうか。

仁美は急に恥ずかしくなり、頬を赤らめて肩をすくめた。

「あ、ありがとう。」

思いが伝わったことに満足して篤希は微笑む。

「あと僕は鈍いから、仁美と一緒で言って貰った方が嬉しいんだ。だから気にせず口にしてくれていいよ。傷付いたら…まあ傷付いた分だけ強くなれるでしょ。」