そして顔を上げまっすぐに篤希を見て背筋を伸ばす。

「ごめん、篤希。嫌なこと言っちゃって。」

「え?あ、うん。」

軽く頭を下げ、潔く謝罪する彼女はいつもの仁美に戻っていた。

真正面から誤魔化そうとせずに向き合うその姿、篤希はさっきまでとは違う気持ちで圧倒される。

自分の非を認め、それと向かい合っていた。

悪いものは悪い、それをちゃんと受けとめる彼女はとても凛々しい。

「雅之、教えてくれてありがとう。裕二もかばってくれてありがとね。私、ちょっと調子に乗っちゃった。悪い癖だね。」

仁美の言葉を最後にまた沈黙が生まれる。

絢子は仁美を気遣うように見つめ、裕二もまたかける言葉が見付からず黙っていた。

指摘した雅之も怒りは収まったものの、顔を背けて腕を組んだまま何も話そうとはしない。

再び嫌な空気が流れ始める。

誰もがそう感じた瞬間、この空気を破ったのは篤希だった。

「凄いな、仁美は。」

「え?」

俯きかけていた皆の視線が一斉に篤希にそそがれる。