自分の暴走に気付いて悔やんでいる、それに気付いた裕二が雅之を止めに入った。

しかし頭にきているらしい雅之が聞き入れる様子はない。

「人見て喋ってんの?俺は別に気にしねえけどさ、篤希は気にするとか思わない訳?つーか何様だよ。」

「雅之!」

最後に吐き捨てるように出された言葉に裕二は雅之の肩を掴んで止めた。

言い過ぎだと表情で訴え、受け入れたように雅之は短く息を吐き出す。

しかし雅之の気持ちは少しも晴れていないようだ。

どうにも拭えない微妙な空間に皆口を閉ざしてしまった。

声にしたくても何を言えばいいのか分からず、視線が泳ぎながら落ちていく。

「あ、そっか…そう、だよね。」

少しの間訪れた沈黙を払うように仁美が声を出した。

とりあえずこの空気を変えたかったのだろう。

後に続く言葉が見付からず頭を掻く。

「仁美。」

心配そうに彼女を呼んだのは裕二だった。

しかし仁美は申し訳なさそうに笑い、裕二からのそれ以上の言葉を止める意味で首を横に振った。