「えー!?男は詳しくないと駄目でしょ!?マイナスだよ。マイナス!篤希って見るからに受け身っぽいから、そういうとこでガンガン圧してかないと。」

「はあ…。」

そのあとも続けて出てくるマシンガンのようなダメ出しをくらい、篤希はただただ圧倒されてしまった。

別に傷付いた訳ではないが、傍目にはそう見えたかもしれない。

篤希にとっては、呆気にとられている、と言った方が正解だろう。

しかし視界の端で気まずそうな顔をした周りの視線を感じて逃げたくなったのも事実だ。

困ったな、そう心の中で呟いた時だった。

テーブルを叩く大きな音がその場に居た全員の思考を止めたのだ。

「いい加減にしろ、うるせえぞ仁美!」

雅之の低く厳しい声がテーブル内の空気を止めた。

珍しく怒りを露にする雅之に皆が驚いて何も言えなくなっている。

「男として駄目とか馬鹿にし過ぎ。マジで引く。」

「おい…雅之。」

既に目が泳ぎ瞬きが多くなっていた仁美は何かに気付いたように小さく口を開けた。