店内の奥。


窓際の席に1人で座っていた女の子が立ち上がる。


うわー……


美少女だぁ。


その女の子はにっこり微笑んで、少し恥ずかしそうに小さく手を振り返していた。


私の存在なんて忘れたかのように、その席に真っ直ぐ進んでいく貴弥の後を追う。


貴弥は迷うことなく女の子の横に座り、
私は選択の余地なく、向かいの席。


「美和。変なのに声掛けられたりしてねぇよな?」
「大丈夫だよ。心配しすぎだよー」


……私、今すっごい貴重なものを見てるのかもしれない。


こんなに必死に「心配です!」なんて表情の貴弥、見たことないし。


ぽかん、と貴弥と女の子を眺めていると、女の子がこちらに気付いた。


「あ!すいません…。あの、お兄ちゃんの彼女さん、ですよね?私、妹の美和です」