家の前まで送って貰ってたのを、兄貴に見られてたなんて。
ある日を境に、その男の子は私を避けるようになった。
私は自分が何か、彼の気に障る言動をしたのだと思った。
それなら彼にちゃんと謝らないといけない。
彼に避けられたままなのは、嫌。
そうして、放課後に彼のクラスに行って。
偶然とはいえ、彼と彼の友達の会話を聞いてしまった。
ーーお前、篠井と仲良かったじゃん。
ーーあー。まぁ、ね。
ーー好きなんだろ?
ーー好き……だよ。
彼の言葉に、私は胸がどきどきした。
なんとなく声を掛けるタイミングを失ってしまって、話の続きを静かにドアの陰から聞いていた。