飛華流が部屋を出て
少しすると、
スーッ
襖が開いたから
飛華流かと思い、振り向くと
「飛華流ちゃんかと思ったんですか?クスッ」
総司だった。
「なんだよ…総司…飛華流知らねぇか?」
「飛華流ちゃんなら僕の部屋で寝ていますょ?」
は⁈
「なんでお前の部屋に飛華流が寝てんだよ⁈」
「僕が保護したから。」
は?
飛華流は男が嫌いなんじゃねぇのか?
「てめぇふざけんのもいい加減にしろよ⁈」
「ふざけてんのはあんたでしょ⁈土方さん‼」
総司は滅多に怒鳴らない。
だけど今、総司は
俺に対して怒鳴った。
「飛華流ちゃん泣いてましたよ⁈泣かせたのは土方さんでしょ⁈」
「あいつの胸の中のもんを理解したかったんだよ…」
「なんでそこまで飛華流ちゃんにこだわるんですか⁈土方さんあの時から女に興味なんてないでしょ⁈」
あの時…?
あの時ってなんだょ…?
「あの時って…?」
「まさか…土方さん忘れたんですか…?薫(カオル)の事を…。」
薫…。
ズキッ
俺は絶対に忘れちゃいけねぇ人を
忘れようとしていた。
雪野薫(ユキノ カオル)
俺の初めて好意を寄せた人…
「飛華流ちゃんと薫…似てるよね…すっごく似てる…。」
そうか…
だから俺は
飛華流の事ばかり
考えてしまうんだ…。
「薫の時みたぃに飛華流ちゃんは渡さないよ?」
「…え?」
「僕…飛華流ちゃんの事が好きだから。」
総司が飛華流の事が好き…?
ズキッ
は?
飛華流は俺に関係ない。
薫…
薫は五年前
俺と総司の前で浪士に
斬られた…。
薫と俺は思い合っていた。
総司も薫に恋心を抱いていた。
でも、総司は、
「土方さんなら仕方ないなぁ…薫の事頼むよっ‼」
と、言って身を引いてくれた。
だが、薫が斬られた後
総司は
「土方さんに薫を任せた僕が間違っていた…もう二度と僕の好きな人には近づかないで…」
と、とても冷めた瞳で
俺に言い放った。
五年前みたいには
もうなりたくない。
俺は別に飛華流の事が
好きではない…。