「パンッ!」




パスを回されたボールが人の手に渡る前に誰かがボールを取った。



その姿は紛れも無く真哉だった。



その瞬間に歓声が沸き起こる。



真哉はボールを自分の物にすると、人の間を素早く切り抜け一気にゴールをした。



一瞬何が起こったか分からないくらい早い展開だった。



空気が一瞬止まった気がしたけどすぐに歓声に包まれた。



「いいぞぉ~新入りぃ~!!」


「カッコイイー!!」



男女の興奮した声の渦の中



真哉はあたし達の方を見て親指を立てた。



まさに『どうだ?』と言わんばかりの態度だ。



そんな真哉を見て愛斗はすごい嬉しそうにしていた。



あたしは意外な真哉の一面を目の前にしたから



あっけにとられてポカンとしてしまった。



ふと視線をズラすと、いつも真哉に付きまとってる佐伯梨乃が両手を顔の前で合わせ、涙ぐんでるのが見えた。