顔から血の気が失せた気がした。


「お、斎藤がアタリを引いたな。

他は戻っていいぞー。


明野、こっちに来てくれ。」


あたしは放心状態で近づく男子が誰だか見ていなかった。


トン。


男子があたしの隣にたった。

あたしはやっと現実世界に帰ってきて、ひなたに目を向けた。

ひなたは頑張って、と口パクしてた。
それに頷きながら前を見据えた。


「そんじゃ、明野から頼む。」


先生の言葉に「はい。」

短く答えた声は何処かで聞いたことがあったような気がした。



「学級委員になりました明野央仁です。

頑張ってクラスをひぱってきますので、よろしくお願いします。」


聴きやすい低い声、丁寧な言葉遣い……


あぁ、朝あった人だ。

そう気がついた。




これがあたしと、彼の始まりでした。