私が後ろを振り返った、その先にいたのは、…優しく微笑む"湊"の姿があった。
『ココが、亜由の大切な"陽向"…君のお墓?』
湊が優しく問う。
「うん。……とても大切な…―」
その先は言わなかった。
いや…言ってはいけないって思った。
……今は、"湊"が一番大切なのに、…『大切な陽向』って言いそうになった。
残酷だと、自分でも思う。……陽向が大切なのは、ずっと変わらない。…でも、今大切なのは…"湊"だから…。
『どうした?』
急に黙り込んだ私の隣に湊がしゃがみ込んだ。
「ううん…。何でもないわ。」
私は湊をみて微笑んだ。
『そうか?……どんな人だった?"陽向"…は。』