「ん?何か人がいっぱい」
門をくぐると、蒼花の制服を来た人が、いっぱいいた。
2年生かな?
「あ!そこ2人、新入生?ちょっと来てー」
昇降口の近くで、先生らしき人が呼んでいた。
「ごめんねー。今、校長先生が遅刻しちゃって…」
こ、校長が遅刻って……ありえないでしょ。
「わかりましたー。実果ちゃん、行こ!」
「あっ、うん」
あたしは、先を行く彩に着いていった。
「本当、綺麗だよね……」
たどり着いた先は、大きな桜の木の下。
「知ってる?蒼花の名前、もともと『第2桜花高校』だったんだって!」
…第2桜花……。
「この桜、2番目に大きい桜の木なのね?だから第2桜花だったんだけど……」
あたしは無言で彩の話を聞き続けた。
「この桜で、前にちょっとした事件があって……それから蒼花高校に改名したんだって」
あたしは彩を見つめた。
その話のこと知ってるんだ……。
「そっ、そうなんだ…」
目線を下にずらす。
地面には綺麗な淡いピンクの花びらが、地面にじゅうたんのように敷き詰められていた。
これだけ多いと、やっぱりこのくらいの量になるよね…。
数年前にぽっかり空いた、あたしの心の中に、桜の花びらたちがはらはらと沈んでいった。