鞄に入れた携帯を取りだし、ポケットにしまった。
それにしても…鞄までオシャレだな、蒼花は……。
あたしはふと、時計を見た。
ハートのチャームがゆらゆらと揺れている。
「…ん?」
まだ、8時過ぎ?
いや、待て。
あたしが起きたのが8時過ぎでしょ?
あたしはポケットにしまった携帯を取りだし、ディスプレイを開いて見た。
【10:54】
「……………」
10時54分!?
嘘でしょ!?
もう、入学式始まっちゃうじゃん!
初日から遅刻とか…本当ありえない。
あたしってバカなの!?
携帯を握りしめたまま、鞄を持って家を飛び出した。
澄み渡る青い空の下、遅刻ギリギリでダッシュする高校生が1人…。
あぁ、なんて可哀想なのでしょう。
5分間、猛ダッシュ走って駅についた。
元テニス部の体力、なめちゃだめだよね。
改札までもう1度ダッシュし、時間を見ながら、駅ホームへと向かった。
人の数はまぁまぁで、電車はあと5分ほどで来る。
1人寂しく、のんびり待つことにした。
「あっ!ねぇ、あなた蒼花の子ー!?」
ん?
あたしは、声の聞こえた方に振り向いた。
「蒼花の子でしょ!?あたしもなの~!」
そこにいたのは、茶髪の綺麗なショートカットの女の子。