「お母さん、その時間仕事だわ!ごめんね、実果!」
……はいぃいぃぃ!?
嘘でしょ!?
「あー、時間間違えて仕事入れちゃったわ!」
自分の子供の入学式の時間くらい、しっかり把握してください、母よ……。
「朝ご飯はそこにあるから!お昼は何か買って食べなさい」
慌ただしくあたしの手に千円札を乗せた。
「何、もう時間なの?」
「そうよ!」
そうよ!って……。
「行ってくるからねー!」
バタン!と、大きな音を立てて閉まるドアを、あたしはしばらく見つめた。
…どんな親だよ!
とりあえず、テーブルに乗っていた朝ご飯を食べることにした。
テレビをつけると、毎朝見るベテランの天気予報士が映っていた。
『今日は各地で、春の温かい日差しに包まれ、穏やかに過ごせるでしょう』
テレビには、太陽マークがずらりと並んでいた。
食パンを1口かじり、テレビのチャンネルを変えた。
『今日の占いだよ!』
「うわっ!」
いきなり音量が上がった。
何だ、この番組…。
『2位は……さそり座のあなた!』
少しボリュームを下げて、見てみた。
占い見るのなんて、すごい久しぶりだなぁ…。
『1位は………おとめ座のあなた!』
おとめ座…。
あ、あたしおとめ座だ!