「あなたには"全て"視えるのね…。この世界がどうなっていくのかを」

「全部が全部じゃないけど…少なくとも何かが起きることは目に見えてるわ。ただ…」

「ただ…?」

「………」

それ以上の言葉が出なかった
ぐっと口を紡いだあと意を決して言葉にする

「ただ、その時なにが起こっても必ず逃げて子供たちを守ってください。あたしのような"異能者"って呼ばれるような子になって欲しくないから!」

「奏…」

その強い意志に灯はふわっと微笑み「約束するわ」と言う

本来能力者や魔法使いにはチカラが一つと言われている
だが、奏のようなケースは非常に珍しい

元から多種多様や表裏一体の能力を持つ能力者や魔法使いは例ではないが奏のように超能力も魔法も宿ることなどは有り得なかった

「………」

だから奏はあの事件以来"異能者"と呼ばれ続けられていた
本人は気にしていないが直接そう呼ばれるのは腹ただしいと思う部分はある

あんな事件で生き延びた人は奏のみ

だからこそ自分の手で終わらせなかったのだ

「でもね、ムリだけはしちゃダメよ?あなたは私の大切な家族であって娘のような存在だから」

「灯さん…」

灯はそっと奏を抱き締める