「あらそう…」

奏の幼い頃を知る紫乃は大きくなったと目を細める

まだ幼くてあの事件以来あまり顔を出さなくなったことをずっと気にしていた
そして悠太に顔を向けると夕紀の面影を感じていた

「ふふっ、悠太くんだったわね。よく夕紀さんに似てるって言われないかしら?」

「あ、はい…。よく言われますけどそんなに似てますか?」

「目や鼻の形よく似てるわ」

「………」

なんとなく嬉しかった
似てるとよく言われてるが夕紀のことを知ってる人がこんな近くにいたことを

紫乃はハッとして奏が用があってここに来たとやっと理解した

「ごめんね、奏ちゃん。用事はあって来たのよね。いま園長呼んでくるね」

「はい」

そう言うと一旦園の中に入る

その様子を見た奏はいつもと全く違う
気を張った感じでもなくまるで家族を見守るような瞳をしていた

悠太は一つ違う奏を知れたように思えた

しばらくすると「奏」と優しい声をした

「お久しぶりです園長」

「久しぶりね。大きくなったわね」

「園長は変わりないですね」

園長と呼ばれた女性

女性の名前は朝田 灯(あさだ ともり)
50代で四つ葉園の園長
そして幼い頃に奏がお世話になった恩師のような人だ