いまの笑みに一瞬ドキッとする
奏が笑ったことがないわけでは無くいつも冷静で感情をそんなに表に出さない
不敵な笑みは浮かべることは少々あるけど柔らかく微笑むのが珍しかった
「……か、母さんが来てたって仕事でか?」
「半分仕事で半分私情かな。弥生さんと昔から知り合いだったしね」
「なるほどな」
奏の説明に納得する
夕紀の立場上いろんな仕事してるのは悠太も知っていたが本格的に細かいことまでは知らない
でもここで奏と出会ったことは事実だ
少しは何か知ることが出来ると感じた
「たまには顔出さないと園長がうるさくてさ」
「園長?」
「そ。とりあえず行こっか」
二人は園の中に入ると掃除をしている一人の女性が奏に気付いて声を掛ける
「……もしかして、奏ちゃん?」
「こんにちは、紫乃さん」
「ど、ども…」
悠太も挨拶をする
女性の名前は宮森 紫乃(みやもり しの)
四つ葉園で働くスタッフの一人
魔法や能力は使えないが子供の面倒を良く見ていて奏も昔世話になった人だ
「久しぶり奏ちゃん。この子は?」
「あ、あの。篠原悠太って言います…」
「夕紀さんのご子息です。あたしがここに行くってことで誘ったんです」