見張りにそう言うと躊躇いなく進んでいく
するとちょっと重たそうな扉を開けて中に入るとそこは真っ白な部屋に本棚があり何冊も収まっている
あとは机やベッドなどまるで普通の部屋同然だ
そしてそこにはイスに座り悠長に本を読む一人の男性がいた
「碧人さん」
碧人(あおと)と呼ばれた男性は振り返ると「やぁ」と声を掛けると奏は少し笑顔になる
年齢は30代前半だ
「調子はどうかしら?ずっとここに居てばかりじゃ飽きるでしょ?」
「まあ、飽きてないって言ったら嘘になるが街の景色の変化やキミが時折持ってきてくれる本が面白くてね」
「それは良かったわ」
対面するように会話をする二人
すると碧人は少し躊躇い気味に口を開きこう尋ねる
「……朱理は元気かい?」
そして一拍置いて奏は「元気でやってるわ」と答える
……そう、この男の名前は黒羽 碧人
朱理の父親であり先日奏が会った百合華の夫である
なぜ碧人がMEEOの最上階にいるのかは今後の話で分かってくるのだ
「この間あの女に会ったわ」
「……そうか。とうとう動き出すのか」
「アナタがこんな形でここに居るのはあたしのせいでもあるのよね」
「いや…」