刑務所ではいさかいが絶えなかった。
オートメーション化に怒るものや、凶悪な囚人たちによって、ロボットは破壊され、毎日の様に、新しいロボットや修理されたロボットがやってきた。

しかし僕だけは違った。

少女は事あるごとに、僕に話しかけ、笑いかけ、名前を呼んだ。
作業場でつくったというぞうきんで僕を磨いてくれた。

「私さ、ちょっとだけ、ここに出入りしてる業者と仲がいいんだ。」

そう言って、こっそり油をさしてくれることもあった。


時々、僕と少女は外に出た。
昼の3時から3時30分までがプログラムされた時間だ。
少女は区画化された自分の花壇が気に入っているようだった。

「シン、こっちこっち。」

呼ばなくとも、ついていくプログラムだというのに。

少女は度々、僕を振り返る。

「これね、私の好きな花。
 きれいな色でしょう?」
「色は識別できません。」
「え?見れないの?そっか、残念だな、、。」
そうつぶやくと、少女はしばらく花を見つめていた。