しばらくして、耳を覆っていたあたしの手に重なってきた誰かの手。
その温かさも、柔らかさも、あたしはよく知っている。
「莉子、終わったよ」
覆っている手の隙間から聞こえた鈴の音。
目は閉じているのに、そこで誰がどんな顔でいるのか分かってしまった。
「ありがとね。あたしのワガママ聞いてくれて」
あたしはゆっくり目を開けた。
そこには思った通り、
笑ってる咲奈がいる。
あたしを責めない、咲奈がいる。
「ありがとね。待っててくれて」
あたしはこの温かさが、
「咲奈…」
好きなんだよ。
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