「やだなー。あっと言う間に受験生じゃん」


終業式も終わって、ため息混じりに咲奈がそう言った。隣に居た正紀はそっぽを向いたままその言葉に何も反応せず、黙ってあたしの隣を歩く。


「三年になってもみんな同じクラスがいいね」


なんて、笑って言えるようになるまで、そう時間はかからなかった。
むしろ、こうして三人並んで帰っていることだって、本当は可笑しいことなのかもしれない。




なんだろう。

このモヤモヤは。




「終わらないね」



そして、突然ぽつりと、今までと全く違った声色で咲奈が呟く。

その言葉の意味が分からないような、
分かるようなスッキリしない気持ちで、
あたしは次の言葉を待った。



「あたしはやっぱり、正紀が好きだよ」