「咲奈と仲良くなって、咲奈を知れば知るほど、どんどん好きになっていく」
やっと手が届く距離になって、
自分の鞄を受け取った。
「ありがとう。こんな鞄、放っておいても良かったのに、それが出来ないんだよね」
「……莉子、あたし…」
「知ってるよ、そういう優しい所も好きなんだもん…」
鞄を持つ手が震えてる。
情けなくて、涙が出た。
そんな情けないあたしは、咲奈の目にどう写って居るんだろう。
そう考えると、臆病なあたしはまた逃げ腰になる。
「莉子、あたしは……」
でも、もう、逃げない。
もう、誰も傷付けないよ。
もう、大丈夫。
君の返事をちょうだい。
「莉子の親友だよ」