「咲奈っ…」
咲奈が、欲しい。
手を伸ばせばそこに君は居る。
「捕まえたっ」
それでも、届かない。
「捕まえた」
あたしは後ろから咲奈を抱きしめる。
こんなに近くに居るのに、それなのに。
「あはは。捕まっちゃった」
「……っ」
「捕まったよ、あたしの負け」
「……うん、咲奈の負け」
「写メならちゃんと消すよ?」
「うん、そーして」
「嬉しいでしょ?」
「うん…」
「じゃあ、なんで泣いてるの?」
こんなに近くに居るのに。
抱きしめてるのに。
それでも、まだ咲奈が欲しいと思うのは。
きっと、咲奈が手に入らないから。
「咲奈、好き」
「あたしも、好きだよ?」
咲奈の好きと、あたしの好きは違う。
分かってるけど、
胸は痛いけど、
「…うん」
それでも、いい。