やめて。
そう口から出そうになって、思い止まる。
もし、あたしが咲奈に告白して、こんな事第一声で言われたら、きっと、死ぬだろう。
その前に、こんな事を考えられるあたしの冷静さが怖い。
「いつから、なの?」
「ずっと前から」
「ずっと前って、いつよ?」
「んなこと、いちいち覚えてねぇよ…でも、咲奈と出会う前からだ。あいつにも言った。俺は、咲奈が俺を好きになるずっと前から、莉子が好きだったって」
「え…」
そんなこと、こないだの告白の時は言ってなかった。
あぁ、そう言えば、昨日の昼休み突然消えたかと思ったら、目晴らしながら戻ってきて、言ってたっけな。
莉子には適わない、って。
あの時は、そんな言葉より咲奈が泣いてることの方が重大でそこまで深く考えなかったけど、
「お前だって知ってんだろ?咲奈が俺のこと好きだったこと。でも、俺はそれ以上に、」
お前が好きだ。
それを言われる前にあたしは正紀の頬を思いっきり殴った。