幼なじみって言葉に、恋愛っていう情を混ぜられても、困る。
あたしは、正紀にそんな情向けたことないもん。
なら、咲奈は?
親友って言葉に、恋愛って情を混ぜてるって知ったら、咲奈は、
困る、んだよね。
♢♦♢
「好きだ」
ある日の帰り道、あたしと正紀に手を振って別の方向へと足を進める咲奈の笑顔を、消さないように、こっちも負けじと手を振っていると、側にいたあたしにしか聞こえないくらいの小さな声で正紀が言った。
「…え?」
思わずその手を止めて、振り返る。
そこには俯くことなく、強い光を放った正紀の瞳があたしのことを穴が空きそうなほど見つめていた。
「お前が、好きだ」