病院回りをしてから一ヶ月位が経った頃だった。いつもの様に救急外来に行くと何度か診察してもらった女医さんが『何回調べても体には異常無いからストレスで体調を崩してるかもね。一度診療内科に行ってみたら?』と薦められた。診療内科?私はそんな科があるなんて知らなかった。なんせストレスとは無縁の適当人間だったから。疲れたり嫌な事があったり悩み事があっても寝れば忘れてしまうような楽天家だった。そんな私が診療内科なんて・・・。正直かなりのショックを受けた。私は心の病気について偏見を持っていたと思う。
でも今の苦しい状態から抜け出せるならとためらいながらも診療内科に行った。はじめての診療内科の印象は私の描いていたものとはまるで違っていた。私の中のイメージは薄暗くて汚くて怖い所かと思っていたが行ってみるとすごくきれいな所で癒し系の音楽が流れていた。ちょっと安心した。医者と言う感じじゃなくてどこかの待合室みたいな感じだった。
カウンターの中の看護婦さんらしき人に名前を呼ばれた。カウンターに行くと数枚の紙とペンを渡された。その紙にはたくさんの質問が書いてあった。とりあえず椅子に座りものすごい数の質問にひとつずつ答えていった。どこかでやった事のある性格診断テストみたいなものだった。質問用紙をカウンターに出すと診察室に通された。診察室もまた病院と言うイメージから掛け離れていてパソコンが一台ぽつんと置いてある大きな机に先生らしき人が座っていた。私は先生の向かいの椅子に座った。先生の診察が始まった。家族の事、仕事の事、体の症状の事。いろんな話をして先生が言った病名はパニック障害と言う心の病気だと診断された。パニック障害?わたしは自分の病気の事を全然理解できないまま、取りあえず精神安定剤とうつの薬が処方され、二週間飲んで様子を見る事になった。