「あのさ、あたし普通の女の子とは違うんだよね。」


この先を言ったら上杉はどんな反応をするだろうか。

いくらテキトウに聞いているとはいえ、何かしらの反応はしてくるはず。


――こんなあたしを
    笑うだろうか?


「普通の女の子ってさ、おしゃれとか気にして、少しでも自分をかわいく見せようとしたりさ…」

「・・・・。」

「かっこいい人…いわゆるイケメン見てキャーキャー言って騒いだり…」

「・・・・。」

「そして… 自分で”恋してる”って自覚できるじゃん・・・??」

「・・・・。」


何も言わない。


「あたし、そんなこと全くなくて…」

「・・・・。」

「おしゃれなんてどうでもいいし、イケメンなんてさらにどうでもいいし・・・」

「・・・・。」


やっぱり何も言わない。

寝てるんじゃないかと一瞬不安になったが目は開いていた。

遠く、ぼーっとただ一点を見つめてる。

やっぱテキトウに聞いてんだろうな。


あたしは話を続けた。

「”ましてや恋なんて…”って最近まで思ってた。」

「・・・ん? 最近までって何さ。」


・・・喋った!!


「あぁ… 今から話すけど、周りが言うにはあたし、最近恋してるみたいなんだよね。」

「・・・だれに?」


・・・真剣なまなざし。

さっきまで遠くを見ていた目が今はあたしの瞳を見つめている。