あの人と出会ったのは、空が青かった気がした。

いつもみたいに私は嫌なことがあったからあの場所にいた。あそこは、誰も来ない唯一空が一番近くにあるところ。学校で虐められている。それは何も変わらない現実で。子供たちにとっては大人社会は大変だと思う。でも、子供社会も十分に階級差というものが出来あがっている。それの最低階級に位置するのが私だった。気付いたらなっていた。見えない何かにいきなりつきだされた感覚だった。どうして、こうなった。どうして、私がこんなことにならなくてはならなかった。そう、思考するたびに人間の愚かさと神様のあまりにも気まぐれなそれに溜息が出てしまう。別に一人になったところで、私は虐められている今と前とではなんら差が生まれたというわけではない。ただ、酷い仕打ちを受けているという差なだけ。誰として、私を好いてくれる人などいない。それは、何処に行っても変わらないのだと。そう、思ったのだ。

私は、所謂学校でもクラスでも浮いている変わった生徒で、変わった高校生だった。そして、そんな私は静かで人と関わろうとしなかった。それのどこかに目がついたのだろうか。目ざわりだと思ったのだろうか。私はある日突然虐められた。最初は些細なことだった。物が隠されたり、人がやたらぶつかってきたりとあまり精神的にもきつくないものだった。しかも、それを行っているのは全員が女子だ。共学なのにだ。男子たちはそれを遠巻きに見ているくらいで、関わっていない女子たちは、私にもともと縁がなかったからなのか、それとも次のターゲットにされるのが嫌だったのか。きっとどちらでもなのだろう。次のターゲットにはされたくない。幸いにもあまり周りと関わりを持たなかった私だから、虐められても何も思わない。むしろ、ありがとうと言う気持ちで私を遠巻きに見ているのだ。私は、そんな彼女たちを侮蔑し、更に男子を嫌っていた。

ひとつ言っておこう。私はまったくもって彼女たちに恨みを持たせるようなことは一切していない。先程から言っているように私は人とあまり関わることを好まないからまずその者たちと関わりを持っていなかった。寧ろ話しすら交わしたことがない。そんな相柄だ。
そんな私なのに、あの人とは関わった。なんで、関わったのか。どうして関わろうとしたのか私自身の気持ちでも全然分からない。分からないから、分かろうとしてどんどんあの人に関わろうとしてしまう。いや、本当は初めから。話をかけられた時から私はあの人と関わってしまったのだろうか。きっと、話しかけられて私らしからぬ話し返した時から私はあの人と関わっていしまったのだから、仕方がないのかもしれない。そして、私はまた空を見る。あの人と出会った場所で。どこよりも空が近い場所で。