黙った少年に私は幼い声で言葉を少年へと届ける。


「ずっとずっと、いっしょにいるよ」

「ずっと、いっしょ?」

「うん、やくそく!」


私が笑顔で答えると、少しだけ、少年の頭が持ち上がった。

それを見て、私は肩から下げている鞄へと小さな手を入れ、お気に入りのひとつを引っ張り出す。


「これ、いっしょのしるし」


それは、桜の形をしたブローチ。

この頃の私が一番気に入っていたアクセサリーだった。


少年の手が開いて、私がそっとブローチを置いてあげた──直後。