「世界一会いたくない人に、さっき会った」


月を見上げ、わたしはつぶやいた。


「あいつ、わたしに笑いかけてきた……」


痛みを分け合えば楽になると人は言うけれど、決して分け合えない傷もある。


「……あいつって?」


それでもあなたに話そうと決めたのは、どうしてだったんだろう。


「わたしの――叔父さん」



傷をなめてほしいのではなく、あなたにはただ、見てほしかった。


愛さなくてもいい。

解ってなんかくれなくてもいい。



ただわたしを、

許してくれますか?