「ちょっとね、実家に顔出すように言われたんやけど。
面倒やから断っちゃった」

「家族が嫌いなんですか?」

「嫌いではないけど……」


そうなんや、と少し腑に落ちない様子で瑠衣は言った。

なんだか、気まずい。

わたしたちは会話をなくし、隣に並んだままとぼとぼと教室へ向かった。



家族は、本当に嫌いじゃないんだ。

むしろ好きだと思う。

久しぶりにミキ姉には会いたいし、両親の顔も見たい。


でも……。



「じゃあ、週末は俺と遊ぼっか」

「はい?」


思わず素っとん狂な声を出したわたしに、まわりの生徒たちの視線が集まる。


あわてて無表情を取りつくろい、声を小さくして聞いた。


「なんでそこで片瀬くんと遊ぶことになるわけ?」