廊下ですれ違う生徒たちはみんな、瑠衣を見ると親しげに挨拶してくる。

同じ学校らしい子もいれば、他校の制服を着た子もいる。

いったいどれだけ友達が多いんだ、こいつは。



「先生、なんか今日、元気なくないですか?」


歩きながら、瑠衣はなにげない口調でそう言った。


「え? 別に」

「先生の“別に”は、どうも信用できへんからなあ」

「何よ、それ」


だけど図星だから、わたしは何も言い返せない。


「俺の予想やけど」

と前置きして瑠衣は言った。


「今週末に予定が入ってるっていうの、嘘でしょ?」

「……さっきの電話聞いてたん?」

「いやいや、聞こえたんっすよ」


悪びれる様子のない顔に、脱力してしまう。


わたしはめずらしく素直にうなずいた。