「あっ」


どうやらわたしは、考え事にふけるあまり無意識にずっとコーヒーをかき混ぜていたらしい。


あわててマドラーを置き、ひきつった笑顔でごまかす。

が、その様子がよけいにおかしかったらしく、3人はケラケラと笑いだした。


「すんません。先生ってもしかして、ちょっと変わってます?」

栗島くんが言った言葉に、

「もしかしてじゃなくて、明らかに変わってるやろ」

と、瑠衣があおる。


からかわれたわたしは、少しだけ顔が赤くなった。 


「し…失礼やなあ」


わたしはカップをむんずと掴み、乾いたのどにコーヒーを流しこんだ。


だけどそれは思ったよりも熱かった。

ひりつくような痛みが、舌に走る。


「熱っ――」

「大丈夫ですか!?」

「ひゃっ」


いきなり目の前に瑠衣の顔が来て、いっきに痛みが吹っ飛んだ。