「まあ栗島は中間の時期に遊びまくってたからなあ」

「違うねん。ちょうどあの時期にバンド始めたから、その練習が忙しくてやな」


いやいや。
“別にいい”じゃなくて、その方がいいに決まってるんだ。 

気にされたところで、困るだけなんだから……。


「お前なあ、今さら楽器なんかやめとけって。金かかるだけやん」

「瑠衣みたいな金持ちの息子に言われても説得力ないなあ」


て言うか、こんなに意識してるわたしの方がおかしくない?

うん。おかしい。

絶対おかしい!

どうせ…あのノートの件だって気まぐれだろうし。

若い子の気持ちなんか、すぐにコロコロ変わるもんだし……。


「てか、先生。混ぜすぎ!」

「………へ?」


いきなり自分に話題が向いて、思わずまぬけな声が出た。


刺さるようなみんなの視線が、わたしの手元に集中している。