やっぱり……来なければよかったかも。


ため息をこらえながら、熱々のコーヒーにミルクを垂らす。


ゆっくりと混ぜると、カップの中でマーブル模様ができた。


「そういや瑠衣のクラスって、もう中間テスト戻ってきた?」


栗島くんがアップルパイを頬張りながらたずねた。


「いや、まだ。栗島んとこは?」

「数学が今日戻ってきたんやけど、悲惨な結果やったわ」

「それはいつもやん」

と涼子ちゃんが突っ込み、瑠衣が笑う。


学校のテストの話題で盛り上がる彼は、わたしが隣に座っていることなんか、ちっとも気にならない感じだ。


まるで完全に、ただの先生と生徒。


いや、別にそれでいいんだけど……。