「何?」

「何って……。なんで急に俺のこと避けるねん。
メールの返事もくれへんし」

「別に避けてないですよ。仕事上のやり取りは今まで通りしてるでしょ?」

「そういう問題ちゃうやろ」


山崎の顔に怒りの色が表れた。

離していた腕を再びつかまれる。


痛い、と思ったけど、いつ誰に見られるかもしれない職場で大きな声は出したくなかった。


「離してよ」


低く言ったわたしの声と同時に、後ろから足音が聞こえた。


「あっ、水野先生! 探してたんですよー」


聞き覚えのある男の子の声。

心臓が、一瞬止まる。

山崎が腕をさっと引く。


ふり返ってみると、そこには予想通りの顔があった。