瑠衣はアメリカに旅立っていった。
 
あの大学ノートを、わたしのもとに残して。



彼の匂いが残るベッドで開いてみた大学ノートには、愛しい思い出がびっしりと綴られていた――。





【090-XXXX-XXXX】


……そう、この11ケタの数字がすべての始まりだった。
 
今でもわたしの頭の中には、ちゃんとインプットされたまま。
 
ひとりきりの海で泣いていたわたしを、救ってくれたのはこの携帯の番号だったんだ。




【授業が終わったら、こないだのスタバで待ってます】
 

この日、瑠衣は夜中までわたしを待っていてくれたよね。
 
あなたのまっすぐな愛が怖くて、わたしは逃げてばかりいた。




【栗島のギターはまじでひどいっすよ!】
 

くだらない話もいっぱいしたよね。
 
わたしは他の講師から嫌味を言われたりしたけど、

それでも瑠衣といる時間が楽しみだったんだ。