――ごめんな、葵。 お前と別れて、もう何年も経つのにな。 今さらこんな手紙を送ったところで、きっと困らせるだけやのに。 でもな、いまだに俺の部屋は、お前でいっぱいやねん。 思い出になりそうな物は全部捨てたと思ってたのに、ふとした瞬間に見つけてしまうんやんか。 ふたりで買い物したときのレシートとか、 一緒に観に行ったライブの半券とか。 なんでこんなん大事に持ってるんやろうって、自分でもあきれるような物ばっかり。