瑠衣。


わたしが住所も電話番号も黙ってかえたことを知ったら、あなたはどんな顔をするだろう。


きっとまた、怒るよね。

なんで勝手にそんなことするんだって、怒鳴るよね。




運命を変えてみせると言ってくれたあなた。

嬉しかった。


でもね、やっぱりあなたの未来を壊すことはできない。

若い瑠衣には、わたしみたいな女のせいで辛い想いをさせたくないんだ。


努力とか、約束とか、

そんなんじゃどうにもならないこと、あるんだよ。




瑠衣、

今までありがとう。


あなたからもらったたくさんの気持ちを、絶対に忘れない。



たった一度だけ抱いてもらったこと。


ずっと見つめていたかったあなたの寝顔。


そして、一瞬でもふたりで未来を夢見たこと。



あんなに素晴らしい思い出は、なんだかわたしの人生じゃないみたいで、

……ちょっと幸せすぎたのかな。




今は、涙が止まらないんだ。