……ガラガラと教室のドアが開き、中から生徒たちが出てきた。


「水野の授業なんか受けたくないもんね」


そう言って先頭を歩く彼女は、入り口のそばで立ちすくむわたしに気づき、一瞬だけ目を合わす。

そしてすぐに視線をそらし、行ってしまった。


授業の準備を始めていた子たちも、教科書をそそくさと片付けて出て行った。



無情にも、チャイムが鳴り響く。



開けっ放しにされた扉。

震える足を動かして教室に入ると、そこはもう無人だった。

誰もいない机を前に、わたしはひとりきりで教壇に立った。



……泣くな。


泣くな、わたし。

これは当然の報いなんだ。


涼子ちゃんは以前、わたしのためにあんなに良くしてくれた。

それを裏切ったのはわたしじゃないか。


だから、泣くな。


泣くな。


泣くな――…



「水野せんせ」



……愛しい声が、教室に響いた。



「何してんの? 早く授業始めてよ」


ゆっくりと顔を上げる。


そして、涙でにじんだ視界に、“彼ら”が映って――


「なんで?」


思わずそんな言葉が出た。



そこにいたのは、栗島くんやいつもの男子メンバー、

そして、瑠衣だったから。