窓の外がいつの間にか暮れている。
薄いカーテンから透けて注ぐ夕日が、瑠衣の寝顔をオレンジに染めていた。
わたしはその横で頬杖をつき、無防備な彼をぼんやりと見つめた。
少しクセのある襟足の髪。
うっすら開いた唇から白い歯が見える。
瑠衣の歯は、前の2本がちょっと大きいんだ。
笑うと一気に可愛くなるその口元が、好きだった。
頬にそっと触れてみた。
深く眠っているせいでピクリともしない。
指先に寝息を感じて、そこに彼がいることを、実感した。
どうしてこんなに愛しいのか自分でもわからなかった。
だけどもっとわからないのは
なぜわたしは今、涙を流しているのかということだ。
瑠衣の肩に、頭をのせて寄り添った。
脇のくぼみにすっぽりと収まり、まるでずっとこうして生きてきたみたいに思えた。
「先生……?」
目を覚ました瑠衣が、涙の理由を知りたがる。
「好き」
それが理由だった。
「俺も」
「大好き」
わたしたちは競うように、気持ちを伝え合った。