「きゃっ!」


いきなり強い力で腕をつかまれ、わたしは悲鳴を上げた。

恐怖のあまり、一瞬で血の気が引く。


そしてとっさに手を払いながらふり返り――

こんどは、声すら出なかった。



「なんでひとりやねんっ!」


「……は?」


「さっきまで山崎と一緒におったんちゃうん!?
なんでひとりでこんなとこ歩いてるねん」


いきなり怒鳴られたことよりも、その人がここにいたことの方が、驚いた。


“なぜ”なんて、そんなのわたしの方が聞きたい。


なぜ……


なぜここで片瀬瑠衣に会ってしまうのか。