「ずっとうまくいってなくて、俺が高校卒業したらすぐ別れるつもりやったんやて。
でも、もう限界やって……。
だからこれからは母さんとふたりで住め、生活の心配はいらんからって……そんなん勝手に決めて言われても、わけわからへん」


わたしは彼の頬に次々と涙が伝っていくのを、ただ見ているだけだった。

言葉が見つからなかった。


「考えてみたら、うちの親が放任主義になったのも、ただ家庭に関心がなくなったからやんな。
それを俺、自分が一人前と認められたって、おめでたい勘違いして。
何も知らんかったくせに、ひとりで幸せって思い込んで」


そこまで言うと瑠衣は言葉を止めた。


そして果てしなく長いため息をつき、苦しそうに笑った。



「なんか、俺、アホみたいやわ……」



新しい涙が瞳からこぼれる前に

わたしは瑠衣を抱きしめた。